4 月は変なひと月でしたね。
桜は一気に咲き誇り、夢だったのかなあと思うみたいに通り過ぎていったし。ものすごく暑い日があったり、も のすごく寒くてまたコートを引っ張り出したり。お天気の神様はいったい何を考えているのだろうと空を見上げ ても答えは出ずに、猫の額ほどの庭にまく予定の種を玄関の壁に貼りだしてみたりしています。皆様、すこやか におすごしですか?
そんな 4 月、私はいつものように玄関の靴箱(シューズボックスというよりも靴箱)の上に季節の花を生けて気 を紛らわしていました。この場所に飾る花を私は「いってらっしゃいの花」と呼んでいます。出かける時は「い ってらっしゃい、気をつけてね。」と元気に声をかけてくれるし、帰ったときは「お帰りなさい。お疲れ様。」と 言ってくれるような気がするのです。
玄関は家族みんなが必ず 1 日のうち何度か通る場所。 花を置くと整理整頓もするようになるし、なんだかマメに掃除もしたくなり、家の中に風を通したくなる。だか ら花を飾るにはもってこいの場所。と実は私の母の受け売り。私自身が花の仕事をたくさんしてきて感じたのは、 いつも人がいてにぎやかなリビングやダイニングに花を飾るのもいいけれど、普段は誰もいない場所で人の動線 上にあり目のいくところに花があるとホッとするなあということ。花が人のかわりに思いやりを伝えてくれる気 がして。
我が家の 4 月のいってらっしゃいの花を紹介しましょう。 まずはじめは、庭から摘んできたパンジーとヒヤシンス。パンジーは茎が長く伸びてくる時期なので生けやすく、
小さな蕾もよく咲くし、ヒヤシンスはもうおしまいだったから家の中で優しい香りを楽しみたくて。
その次は、庭のチューリップ。毎年必ずチューリップの球根を植えています。小さな芽が出てぐんぐん育ち花が 咲いたら 3 日間くらい庭で楽しみ、花を摘んで家の中で 1 週間くらい楽しみます。今年は大正ロマンな着物の柄 のようなチューリップでした。
それから矢車菊。これは近所の花屋さんで素晴らしく綺麗なブルーベースの色合いに一目ぼれ。ロマンチックで リリカルな花。4 月中旬の矢車菊は一番花保ちがいいような気がします。
矢車草が元気なうちにジャーマンアイリスが登場です。知り合いの方の庭に咲いていて褒めちぎったら 4 本下さ ったの。この花は大好きだから咲いているのをみかけると生けたくて生けたくて、よだれが出てしまう・・・。
今日も元気にいってらっしゃいの花。玄関の花。
Floréal 花月 / Ancolie オダマキ 穀雨 / 霜止出苗 しもやみてなえいずる