ラフルールのお花教室では、フラワーアレンジメントや花瓶活け、リース作りなどに関する技術的なことを幅広く学びながら、実はもう一つ、というより、そちらがメインのある大事なことを訓練しています。
それは、「ふと、感じたことや思ったこと(浮かんだこと、目についたこと)を無視せず行動に変える」訓練を同時に行なうことです。
お花をアレンジしながら、「なんだかちょっとここがおかしいな」とか「なんだか、ここに隙間が出来ててバランスが悪い気がする、、、」など感じていながら、「先生、出来ました!」と作品を提出すると、ほぼ必ずその部分を指摘されます。
あなたが感じている違和感は確かに間違っていないのです。
おかしいな、と感じたら、そこにあるお花を一旦取り除いて、改めて「違う場所に挿してみる」または「角度を変えて挿してみる」または「ハサミで切って長さを変えてみる」など、必ず一手打つ。
ついつい通り過ぎてすぐに忘れてしまいそうな「ふと感じたこと」を無視せず、必ず一手打つ。行動に変える。
お花教室ではこれを繰り返すことで、日頃から「ふと感じたことを無視しない癖」をつけていきます。
ふと感じたことを素直に行動に移せるようになると、いわゆる「勘がいい人」「運がいい人」「もってる人」になるのではないでしょうか。
今回はこの勘をすぐに行動に移して「防犯」に役立った私の経験をご紹介します。
当時、私が住んでいた町の近くには大きな駅があり、駅前には大きな通りがありました。この大通りを隔てて、飲み屋街とオフィス街が向かい合っており、それぞれのエリアに同じ有名コーヒーショップが一軒ずつあります。
その日、私は「美味しいコーヒーを飲みながら、ゆっくり読書したい」という目的で、飲み屋街にあるコーヒーショップに入りました。ここは昼間は街路樹に囲まれていて、ガラス張りの広い店内には明るい日差しがよく入り、気持ちがいいお店なのです。
カウンターで受け取ったコーヒーを持ち、窓際の席についた時、ふと入口に目をやるとリュックを背負った男性が入ってきました。誰も気にしていない様子でしたが、私はその男性を見たとき、嫌な予感がしてしまったのです。なぜだか分からないけど、リュックの中から棒状のものが少し出ていたのを見て、それに何か感じたのかもしれません。
今日、私がここに来たのは「美味しいコーヒーを飲みながら、ゆっくり読書する」ためです。ドキドキしながら不安に過ごすのが嫌だったので、一瞬迷いましたが、ひと口もまだ飲んでいないコーヒーを返却コーナーに流し、ここから歩いて5分のオフィス街にある同じコーヒーショップに移動しました。
二軒目のコーヒーショップで先ほどと同じコーヒーを注文し、本を読み始めてしばらくしたら、パトカーが店の前に止まってお巡りさんが店に入ってきました。
「いま110番したのこっちの店?」と言いながら。
「いえ、してませんよ?」とスタッフさんが返答すると慌てて、もう一軒の、先ほど私がいた飲み屋街の方のコーヒーショップに向かったようでした。
あのあと、何があったのかは分かりません。とくにニュースにもなっていないので、些細なトラブルだったかと思います。また、私が気にした男性が関わっていたかも分かりません。まったく私が想像もしない、何かがたまたま起こった偶然かもしれません。
だけど、あのまま一軒目のコーヒーショップにいたら、何かしら嫌な思いをしたかもしれないし、ドキドキしてしまう怖い経験をしたかもしれません。なにより、「ゆっくり読書する」ことができなかったでしょう。
私はこの時、あ、やっぱりな。あの時、一瞬ためらったけど店を変えて良かったな。とつくづく思いました。
ふと感じた自分の直感が毎回当たるとは限りませんが、これからもそういう勘が働いた時は素直に行動することを心がけたいものです。
そうはいっても、ふと感じたことをうっかり無視して失敗することもいまだにあります。