「好き」を仕事にし続けるための花屋バイブル
〜現場スキルと経営戦略、20のレッスン~
全国のお花屋さんで働く皆さん、そしてこれからお花の仕事で輝きたいと夢見ている皆さんへ向けて、私が20年以上の経験で培ってきた現場のスキルと経営の考え方をお伝えしていきたいと思います。
「素敵なアレンジメントですね!」 お客様からいただく、その一言が私たちの何よりの喜びですよね。でも、その「素敵」を、どんな時でも安定して、自信を持って作り出すことはできていますか?
特に、母の日などの繁忙期。次から次へと入る注文に追われ、気づけば自己流の行き当たりばったりな作り方になってしまい、「なんだか今日の出来はイマイチだな…」と落ち込んだ経験はありませんか?
大丈夫です。実は、美しいアレンジメントには揺るぎない「基本法則」が存在します。この法則さえ身につければ、どんなに忙しい時でも、どんな花材を使っても、お客様を笑顔にするバランスの取れた作品をスピーディーに作れるようになります。
今回はラフルールが最も大切にしている、その基本法則について徹底的に解説します。これは、私が長年スタッフに指導し続け、多くのお花屋さんで働くプロの方々にも学びに来ていただいているメソッドの根幹です。

なぜ「基本法則」が必要なのか?
お花の仕事は、感性が大切だと思われがちです。もちろん、それも間違いではありません。しかし、プロとしてお金をいただく以上、「今日はなんだか調子が出ないから作れません」は通用しません。
もし今悩んでいるとしたら、あなたに足りないのは「感性」ではなく「理論」かもしれません。
ラフルールでは、アレンジメントを作るプロセスを「ルール」と「法則」という理論で教えています。そこにあなたの感性もプラス。そして、その日のお花との出会いもスパイスとなり、アレンジメントがイキイキとしてくるのです。
目立つ美しい花から気分で挿し始めていませんか?毎回、なんとなくで作っていませんか?ルールと法則を無視すると、アレンジメントの重心が安定せず、バランスの悪い作品になってしまいがちです。
この基本法則は、あなたの技術の「揺るがない土台」となります。この土台があれば、その上にあなた自身の個性や感性という素晴らしい装飾を、自由に、そして安心して加えていくことができるのです。

ラフルール流・アレンジメントの3ステップ
では、具体的な手順を見ていきましょう。ラフルールでは、アレンジメント制作を大きく3つのステップに分けています。体験レッスンに来られた方には、まずこの3ステップの順番でお花を挿してもらいます。
- 葉っぱ(設計図を立体的に作る)
- 主役の花(フォーカルポイントに配置する)
- 脇役の花(顔の大きい順に挿す)
たったこれだけです。シンプルですよね?でも、この順番には一つ一つに明確な理由があります。一つずつ、詳しく解説していきましょう。

STEP 1:設計図 〜全ての土台は葉っぱから〜
アレンジメント作りで、あなたが最初に手に取るべきものは何だと思いますか? バラやガーベラのような華やかな花ではありません。答えは「葉っぱ」です。
私たちは、まず葉っぱを使って、作品全体の骨格となる「設計図」を立体的に作っていきます。これは家を建てる時の基礎工事と同じくらい重要な工程です。この設計図が、これから挿していくすべての花の「ガイド」となり、作品全体の大きさと形を決定づけます。


【設計図作りの具体的なポイント】
- 挿す位置は「オアシスの端」:オアシスの側面、面取りをした斜面のギリギリ端の部分に挿すのがコツです。こうすることで、ゆったりと大きな設計図を作ることができ、風がスッと抜けていくような清々しい作品に仕上がります。設計図を内側の方に挿してしまうと、風通しが悪く、詰まり気味、お花がぎゅうぎゅうに込み合って苦しそうな作品に仕上がってしまいます。
- 花や葉、枝の癖を活かす:それぞれの花や葉、枝は、自然なカーブを持っています。そのカーブを無理に矯正しようとせず、流れを活かしながら挿すことで、デザイン性の高い、動きのある設計図になります。
- 最初に大きさを決める:レッスンでは、「今日の設計図はこのくらいの大きさにしよう」と最初に完成サイズを自分で決めます。枝ぶりの良い葉を切り分けて使う場合も、この自分で決めたサイズに合わせた場所で切り分けましょう。その先の、「どんなデザインの設計図にするか」は花や葉、枝の持つ自然の流れを綺麗にみせることで、自ずと設計図のデザインは決まります。サイズは自分で決める。デザインは自然に任せる。これがスムーズにつくるコツです。
この設計図の工程を丁寧に行うことで、その後の作業が驚くほどスムーズに進みます。
立体的な設計図が完成したら、次はいよいよ主役の花々の登場です。


バラやガーベラといった「美人顔」の主役を、どこに配置すればアレンジメントは輝きを放つのでしょうか? そして、数多くの脇役たちを、どのような順番で加えていけば美しい調和が生まれるのでしょうか?
この続きは、noteで全文をお読みいただけます。あなたの作品作りが変わる「揺るがない土台」の作り方を、ぜひ最後までご覧ください。